配偶者ビザを申請したのに、一向に奥さん(旦那さん)が来日出来なくて困っている。こういったお話を弊所でもよく聞きます。大切な家族との新生活ですから、少しでも早く来日して欲しいもの。
どうしてこんなに時間がかかってしまうのか、その原因やスムーズに進める手続きについて解説していきます。
~おことわり~
当コラムでは、分かりやすさのために在留資格のことを「ビザ」と表現しています。
- もくじ
- 1.どうして配偶者ビザに時間がかかってしまうのか?
- 2.入管庁には標準処理期間というものが存在する
- 3.在留審査処理期間とは
- 4.少しでも早く、スムーズに手続きを進めるには
- 5.入管の職員さんも頑張っている
1.どうして配偶者ビザに時間がかかってしまうのか?
海外から外国人を招へいする手続きを、「在留資格認定証明書交付申請」といいます。
配偶者ビザに限らず、特定技能や留学なども同じです。
それに対して、既に日本にいらっしゃる外国人の方が自身のビザを更新したり、別なビザに変更することをそれぞれ「在留資格変更許可申請」や「在留期間更新許可申請」といいます。
両者の違いは、日本にいるか、いないかということ。
日本にいらっしゃる方には在留期限があり、その期限までに一定の処分をしなければならない以上、入管側も優先度高く業務を行うことが考えられます。それに対し、まだ日本にいらしてない方はそういった期限が無いため比較するとどうしても期間が長くなる傾向があると言えます(もちろん、それ以外にも上陸適合性等諸々の審査があるからですが・・・)。
2.入管庁には標準処理期間というものが存在する
出入国在留管理庁のWEBサイトでは、各種手続きの概要説明とともに標準処理期間を公表しています。「在留資格認定証明書交付申請」は1~3か月が標準処理期間と定められています。
いやいや、もう4か月以上待たされているのですけど・・・という方もいると思うのですが、これはあくまでも目安で必ずこの期間に処理してもらえるという確約ではありません。
期間中に処理して欲しい!!!と思うのはやまやまなのですが、コロナ禍明け以降多くの外国人の方が来日されているので、業務量過多となっていることも大きな要因と言えるでしょう。
3.在留審査処理期間とは
在留審査処理期間は、入管庁が定期的に発表しているデータです。
前述した標準処理期間とは違い、それぞれの在留資格・在留手続ごとに、どれくらいの期間で結果を出しているかという実績になります。
あくまで平均ですので、これより早い場合も遅い場合も当然考えられます。
以下に過去2年の「日本人の配偶者等」の処理期間の推移を抜粋してご紹介しますが、審査期間がどんどん長引いていることが明らかです。このまま推移するといよいよ80日を超える日も出てくるかもしれません。
「日本人の配偶者等」の在留審査処理期間推移
◆令和4年4月~6月許可分・・・・・・・43.1日
◆令和4年7月~9月許可分・・・・・・・45.2日
◆令和4年10月~12月許可分・・・51.1日
◆令和5年1月~3月許可分・・・・・・・52.4日
◆令和5年4月~6月許可分・・・・・・・57.9日
◆令和5年7月~9月許可分・・・・・・・64.5日
◆令和5年10月~12月許可分・・・・・72.6日
◆令和6年1月~3月許可分・・・・・・・72.9日
出典:出入国在留管理庁WEBサイトより
https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00140.html
4.少しでも早く、スムーズに手続きを進めるには
①必要な書類リスト、WEBサイトで確認する
必要資料をWEBサイトで確認してから準備を進めましょう。
手続き進行上、必須書類が抜けていると申請を受け付けてもらえないか、受付されたとしても審査は進まず棚上げ状態となってしまい、大きな時間ロスとなってしまいます。
②申請前にもう1度書類のチェックを
資料が揃ったら、もう一度チェックしましょう。
以下はよくあるミスを参考に、落ち着いて1つずつ確認してください。
(よくある資料の追完補正)
・氏名のスペルミス
・結婚した日時が証明書と違う
・顔写真が古い
・身元保証人の署名が無い
・提出した証明書が前年度分だった
・外国語文書に日本語訳が付いていない 等
③提出前にコピーを取ること、申請番号を確認すること
申請前に必ずコピーを取るようにしてください。コピーが大変であれば、スマホで1枚1枚写真を撮ることでも構いません。いったん入管に出してしまった文書は返却不可で、コピーを提供頂くのにも一定の手続きを踏まないといけません。
恐いのは、自分が何を書いたか、何を提出したか分からなくなってしまうことです。
審査の進捗を確認したり、来年以降の更新の際にも重要な資料となります。
5.入管の職員さんも頑張っている
これだけ多くの在留申請を限られた人員で審査・処理してくださっている入管の職員さんには頭が上がらない思いです。結果が出ずに待たされていると、不安になったりイライラしたりする気持ちになることもあると思います。ただ今回のデータで明らかになっている通り、審査の遅滞は全国的なものです。
入管側が気持ちよくスムーズに審査が出来るよう、申請する私たちも心がけることが必要かもしれません。